Skip to main content

このサイトで販売されているGUIはなぜこんなに“高価”なのでしょうか?—その背景をご理解いただくために、このページでは製品の価格決定の方法について説明したいと思います。

基本アイデア : サウンドセットとの比較

まず第一に、サードパーティ製のシンセのカスタムGUIで有償のものは非常に少ないです。市場は極めてニッチで、特にu-he製シンセのようにデザインを完全に自由に構築できる製品となるとさらに希少です。この「ソフトシンセを完全に再デザインするスキン」という限定的な分野で言えば、私が本当に最初の一人という可能性すらあります。

既存の市場が存在しない状況では、価格設定は非常に難しいものがあります。したがって、私は似た分野であるサウンドセットの価格と比較することから始めました。

市場調査の結果、ある人は$25で200のプリセットを販売し、またある人は$20で150のプリセットを、さらに別の人は$35で140のプリセットを販売していました。もちろんパックの内容によって価格は異なるわけですが、おおよそこれくらいの価格帯が業界の標準として一般に受け入れられています。

私はサウンドセットも制作しているので、サウンド開発にどれだけのプロセスと労力が必要かは理解しています。そのため、サウンドセットとGUIとで開発にかかる労力を比較してGUIの価格を決定すれば、公正と言える価格帯になるだろうと考えました。
そして私の場合、ひとつのGUIを作成するのは、200個のプリセットを制作するよりもはるかに大変です。そのため、特にDivaやZebraのような複雑なシンセのGUIに関しては、現在の$30-35の価格帯は全く不条理ではなく、それどころかギリギリまで安くした価格水準といえます。

ではなぜ“単なるのスキン”を作るのが難しいのか? — ここからは、GUIの制作プロセスを説明いたします。

1. コンセプトとレイアウトの設計

以下は、Izmo for Hive2を例にとり、GUIのレイアウトと外観がどのように完成していくかを示したものです。画像は実際の制作プロセスを30枚のスクリーンショットで記録したもので、まっさらで何も決まっていない段階からさまざまな試行錯誤のプロセスが行われ、行ったり来たりしながら少しずつ最終形に向かっていく流れが見えるかと思います。

画像の01から18に至るまでに、集中的な作業をして約1ヶ月かかりました。もちろん単に画像を交換するだけの「スキン」を作成するにしてもデザインコンセプトを定義して完成させるのにある程度の時間がかかりますが、そうは言ってもゼロからレイアウトを構築する作業はまったく別次元の大変さを伴うものであり、この点において「GUI」を作ることと「スキン」を作ることは完全に別物なのです。

2. リソース作り

レイアウトが完成したら、次のは実際に画像リソースを作成する作業に進みます。このプロセスに関しては一般的に「スキン」を作成する際の工程と全く同じです。アニメーションのために1つのノブにつき101枚の画像が必要であり、各画像を個別に描くわけではありませんが(要素の回転などを使ってある程度作業を簡略化できます)、光や影のディテールなどは細かく描き込んでいく必要があるため、ここにも相当な労力は必要です。

3. スクリプトのコーディング

画像作りが終わったら、プログラミングの時間です—スクリプトファイルには、要素の位置、幅、高さ、それに対応するリソースファイルの名前、タブスイッチャーとそれらの連動関係など、すべてを記述して行きます。
コードはしばしば10,000行以上に及び、コーディングにミスがあれば、要素がクリックできないとか、タブが正しく切り替わらないなどのバグが発生します。そうした問題に対処しつつ、各要素を細心の注意を払いながら配置していく。これもまた忍耐を要するプロセスです。

4. ユーザビリティテスト

最後に、使いやすさのテストを実施します。できたGUIで実際に音色を作成することで、不具合や改善点を見つけることができます。当サイトのGUI製品にはよくボーナスとしてサウンドセットが付属しますが、それはこのユーザビリティテストの一環として制作されたものです。
時折、ここでレイアウトに関する問題が特定されることもあり、その場合は再びデザインの段階に戻らなければなりません。これもまた、単に外見を変える「スキン」の制作では存在しないプロセスです。

そしてこれらすべてのプロセスをクリアした後、ようやく製品は世界に公開されます。

ご覧のとおり、GUIをたったひとつ作成するだけでも、そこには大変な労力が割かれています。しかしその苦労があってこそ、MONAやNeumannといった製品では完全に異なるレイアウト、新しいモジュレーション・システム、直感的なピアノロール式シーケンサーといった、「スキン」の域を超えた価値を提供できています。

こうした背景をご考慮いただいたうえで、当サイトの製品の価格設定にご納得いただけることを期待しています。

Thank you